ところが最近の新築一戸建てでは、木造がRC造を上回る年も出てきました。
なぜ、沖縄の住宅事情は変わってきたのでしょうか。そして、これから家を建てるなら、木造とRCのどちらを選べばよいのでしょうか。
なぜ沖縄ではRC住宅が当たり前になったのか
その背景には、台風の多い気候だけでなく、戦後の住宅事情が深く関係しています。
戦前の沖縄では、赤瓦を載せた木造住宅が一般的でした。しかし沖縄戦で住宅の多くが失われ、深刻な住宅不足に直面します。
戦後、米軍統治下で供給されたのが「規格住宅」と呼ばれる応急住宅です。米国産の2×4インチ材を使った簡易な木造住宅で、1945年から約3年間で7万5千戸が建設されたと沖縄県の資料に記されています。[2]
ただし、当時の規格住宅は現在のツーバイフォー住宅とは別物です。資材も施工環境も十分ではなく、シロアリや大型台風による被害を受けました。
一方、米軍は基地や家族向け住宅などの建設にコンクリートブロック造を採用。基地建設を通してコンクリート施工の技術が県内に広がり、民間住宅にも普及していきます。
1961年以降は非木造住宅の建設数が木造を上回っています。[2]「沖縄ならRC」という常識には、こうした歴史的な理由があったわけです。
では、なぜ今は木造がここまで増えたのか
2024年に沖縄県内で着工した一戸建て住宅は、木造が1,513戸、RC造が1,489戸。ほぼ同数で、木造がわずかに上回っています。[1]
1,513戸
1,489戸
ただし、この数字をそのまま「注文住宅で木造を選ぶ人が急増した」と捉えるのは正確ではありません。
一戸建ての着工戸数には、注文住宅だけでなく建売住宅も含まれています。沖縄では県外大手の住宅事業者などが参入し、資材の大量仕入れや規格化によってコストを抑えた木造建売住宅を数多く供給してきました。
近年は土地価格や建築費の上昇もあり、住宅の総額を抑えたいという需要が木造建売の普及を後押ししています。2026年の地価公示資料でも、その傾向が指摘されています。[3]
つまり、木造が増えた背景には、住宅を建てる人の好みだけでなく、供給される住宅そのものが変わったこともあるのです。
沖縄で建てるなら、木造とRCのどちらがいい?
RCが長く選ばれてきた理由がある一方で、木造住宅の技術や施工環境も以前とは大きく変わりました。それぞれの特徴を整理してみましょう。
堅牢な構造をつくりやすく、台風の多い沖縄で長く選ばれてきた住宅です。適切な設計・施工と維持管理によって高い耐久性が期待できます。一方で、ひび割れ、防水、塩害による鉄筋腐食などへの対策や定期的なメンテナンスは欠かせません。
工法やメーカー、仕様、価格帯の選択肢が幅広く、建築費を抑えられる場合もあります。現在は耐風設計や防蟻技術も進んでいますが、沖縄では台風・シロアリ・湿気への対策を十分に確認する必要があります。
また、外部金物や住宅設備には、設置環境に応じて耐塩害・重耐塩害仕様や、錆びにくい素材を選ぶことも必要です。
これは木造に限った話ではありません。沖縄の環境に合う材料や仕様を選ぶことは、どちらの構造でも欠かせない考え方です。
構造名より、確認したいのは「仕様の中身」
住宅を選ぶとき、「木造だから安い」「RCだから安心」という理由だけで決めると、本当に比較したい部分が見えなくなります。
同じ木造でも、住宅会社によって仕様や価格は大きく違います。RCも同様です。実際に比較するときは、次のような内容を確認してみてください。
特に木造住宅は、工法や仕様の選択肢が広いことも魅力です。すべてを高価な仕様にするのではなく、沖縄で必要な性能にはしっかりお金をかけ、その一方で優先順位の低い設備や仕上げは抑える。
そうした予算の組み立て方ができるかどうかも、住宅会社を比較するうえで見ておきたいところです。
どんな仕様に、どれだけお金をかけている家なのか。
かつてRCが当たり前だった沖縄でも、住宅の選択肢は大きく広がりました。だからこそ、どちらか一方の良さだけではなく、それぞれの特徴と弱点を理解して選びたいものです。
私たちイシンホーム沖縄店は木造住宅を扱っていますが、RC住宅にも長く選ばれてきた理由と魅力があると考えています。構造による優劣を一方的に決めるのではなく、土地条件や予算、暮らし方に合った家づくりを考えることが、納得できる住まい選びにつながります。
構造の特徴や沖縄に必要な住宅性能、予算のかけ方まで。木造に都合の良い情報だけではなく、比較するための判断材料をお伝えします。
記事内の着工戸数は2024年(暦年)の沖縄県内新設一戸建て住宅の統計であり、注文住宅だけの数値ではありません。建築費、耐久性、耐風性能、維持管理の条件は、構造だけでなく個別の設計・施工・仕様等によって異なります。
沖縄県統計年鑑(PDF)
戦後沖縄の住宅の変遷(PDF)
令和8年地価公示資料(PDF)
沖縄県公式ホームページ
